長年住み慣れた自宅の老朽化やライフスタイルの変化に伴い、建て替えを検討するタイミングが訪れることがあります。
しかし、多くのケースで既存の住宅ローンが残っている状況での建て替えは、資金計画や手続きの面で複雑に感じられがちです。
「今のローンはどうなるのだろう」「新しいローンは組めるのだろうか」といった疑問を抱えながらも、具体的な解決策が見つからずに悩んでいる方もいらっしゃるでしょう。
今回は、こうした状況下で建て替えローンを検討する際の可能性や、スムーズに進めるためのポイントを解説していきます。
既存ローンがあっても建て替えローンは組める
既存ローン残高があっても建て替えローンは利用できる
既存の住宅ローンが残っている場合でも、新たに建て替えのためのローンを組むことは一般的に可能です。
金融機関によっては、既存のローン残高を考慮した上で、建て替えに必要な建築費用を融資対象として審査します。
ただし、既存ローンが残っていること自体が直接的な障害となるわけではなく、あくまでも借り入れ希望者の返済能力や担保価値といった総合的な信用力が判断基準となります。
現在のローンの返済状況や、建て替え後の住宅の担保価値が、新たなローンの審査に影響を与えるため、事前に自身の状況を把握しておくことが重要です。
既存ローンの一括返済と建て替えローン同時申し込み
建て替えローンを組むにあたり、既存のローンを一括で返済し、新しい建て替えローンと一本化するという方法も有力な選択肢となります。
この場合、金融機関は既存ローン残高を含めた総借入額に対して審査を行います。
例えば、建て替えローンと同時に既存ローンを完済するための資金も合わせて申し込むことで、手続きを一度に済ませることが可能になります。
これにより、複数のローンを管理する手間が省け、将来的な返済計画もシンプルになります。
ただし、一括返済や一本化の可否、およびその条件は金融機関によって異なるため、事前の確認が不可欠です。
担保の入れ替えで建て替えローンを組む
自宅の建て替えを行う際、既存の住宅ローンで利用していた担保(自宅)を、建て替え後の新しい建物に付け替える形で建て替えローンを組むケースも多く見られます。
これは、金融機関が建て替え後の物件を新たな担保として評価し、融資を実行する仕組みです。
既存のローンが残っている場合、金融機関によっては、そのローンを完済した上で、新しい建て替えローンで再度担保設定を行う、あるいは、既存ローンを借り換える形で建て替えローンを申し込むといった対応が考えられます。
担保価値が十分にあり、かつ建て替え後の物件の将来的な価値が見込める場合、この方法で資金調達が可能となります。
建て替えローン審査に通る条件と進め方
年収や勤続年数など基本的な申込条件を確認する
建て替えローンに限らず、住宅ローン全般に共通する審査基準として、申込者の年収、勤務先の規模、勤続年数、雇用形態などが重視されます。
一般的に、安定した収入があり、一定年数以上の勤続実績がある方が審査に通りやすい傾向があります。
また、年齢や健康状態、契約している保険なども考慮される場合があります。
金融機関ごとにこれらの条件の基準は異なりますが、最低限の申込資格を満たしているか事前に確認し、必要であれば条件を整えてから申し込むことが、審査通過の可能性を高める上で重要です。
担保評価額と借入可能額の上限を知る
建て替えローンでは、建築予定の物件や土地、そして既存の建物(解体前)の担保評価額が、借入可能額を決定する重要な要素となります。
金融機関は、担保となる不動産の現在の市場価値や、建て替え後の建物の想定価値を算出し、その評価額の一定割合(通常は物件価格の8割程度)を上限として融資額を決定します。
既存ローン残高がある場合は、その額も考慮され、最終的な借入可能額は、担保評価額から既存ローン残高などを差し引いた金額になることもあります。
正確な借入可能額を知るためには、複数の金融機関に相談し、具体的な担保評価額に基づいたシミュレーションを行うことが推奨されます。
金利タイプと返済プランの選択肢
建て替えローンにおいても、金利タイプには変動金利と固定金利の選択肢があります。
変動金利は、市場金利の変動に応じて返済額が変わる可能性がありますが、当初の金利が低く設定されていることが多いのが特徴です。
一方、固定金利は、返済期間中または一定期間、金利が固定されるため、返済計画が立てやすいというメリットがあります。
どちらの金利タイプが適しているかは、申込者のリスク許容度や将来の金利動向の見通しによって異なります。
また、返済プランについても、毎月均等返済、元利均等返済、ボーナス併用返済など、多様な選択肢が用意されています。
自身のライフプランや家計状況に合わせて、最適な金利タイプと返済プランを選択することが、長期的な家計の安定に繋がります。
まとめ
住宅ローンが残っている状況での自宅建て替えは、一見ハードルが高く感じられるかもしれませんが、金融機関の適切な商品選択と手続きを行うことで、十分に実現可能です。
既存ローンの一括返済や担保の入れ替えといった方法、そして建て替えローン審査に通るための基本的な条件や、借入可能額、金利・返済プランの選択肢を理解することが、計画を成功させる鍵となります。
ご自身の返済能力や資産状況を正確に把握し、金融機関と相談しながら、最適な資金計画を立てていくことをお勧めします。
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